2020年10月29日~30日
ご挨拶
患者由来がんモデルは、がん研究においてその黎明期より重要なツールとして使われてきました。腫瘍細胞を身体から取り出して培養したり実験動物の体内で増やしたりすることで、我々はがんの発生や臨床的に重要な事象(転移、再発、治療抵抗性など)の分子背景を明らかにしてきました。新しい抗がん剤の開発においても、患者由来がんモデルは必須の道具として用いられてきました。近年では、ゲノム解析で同定される遺伝子の異常の生物学的・臨床的な意義を調べるために患者由来がんモデルがますます必要とされています。患者由来がんモデルはこれからもがん研究において重要な位置を占めるでしょう。
一方で、長年の課題が依然として残されていることにも我々は目を向ける必要があります。たとえば、多くの場合モデルの樹立には時間がかかり、しかも100%の成功率は望めません。また、モデルでもって治療奏効性を予測できるという仮説が昔からありますが、その仮説に対する医学的な十分なエビデンスはありません。そして、モデルが入手できないがんがたくさんあり、バイオバンクはうまく機能していません。このような課題を解決していくことで、がん研究はさらに前進していくでしょう。
本講演会では、患者由来がんモデルに関わる研究を行っておられる研究者の方々に御講演をお願いしました。また、希少がんの診療に携わる医師や患者会の方にも御講演をお願いしました。各演者の方には本分野に関係するトピックスをとりあげていただき、活発な議論が展開されることを期待しています。本講演会が患者由来がんモデルに興味のある方々の交流の場となることを願い、皆様の御参加をお待ちしています。 末筆な がら、皆様の臨床・研究・ビジネスの益々の御発展をお祈り申し上げます。
近藤格
希少がん研究分野
国立がん研究センター研究所
10月29日(木) | |
時間 | 内容 |
9:00 | 開演のあいさつ |
9:10 | セッション1:患者由来オルガノイドを用いたがんの本態解明 |
10:30 | 休憩 |
10:40 | セッション2:PDXモデルから探るがん細胞と間質の相互作用 |
12:00 | 休憩 |
12:10 | ポスターセッション1 |
13:30 | 休憩 |
13:40 | 技術セミナー:PDXマウスの開発 |
14:20 | 休憩 |
14:30 | セッション3:患者由来希少がんモデルへの取り組み |
15:30 | 休憩 |
16:00 |
企業講演:Patient-derived tumor xenografts (PDXs) for preclinical development of anti-cancer therapy -日本チャールスリバー株式会社- |
17:00 | 休憩 |
17:10 | ポスターセッション2 |
10月30日(金) | |
9:00 | セッション4:患者がん三次元培養技術を活用した病態解明の取り組み |
10:20 | 休憩 |
10:30 |
企業講演:化合物ライブラリーとその利用 -セレックバイオテック株式会社- |
11:30 | 休憩 |
11:40 | ポスターセッション3 |
12:50 | 休憩 |
13:00 | セッション5:がんの鶏卵モデル |
14:30 | ポスターセッション4 |
15:30 | 休憩 |
15:40 | セッション6:がん免疫に関するin vitroアッセイ系 |
17:00 | 休憩 |
17:10 | セッション7:患者由来がんモデルとその先にあるもの |
18:30 | 閉会のあいさつ |
筆宝 義隆
千葉県がんセンター研究所
発がん制御研究部 部長
セッション1
患者由来オルガノイドを用いたがんの本態解明
宮城 洋平
神奈川県立がんセンター
臨床研究所
所長・生体試料センター長
セッション2
PDXモデルから探るがん細胞と間質の相互作用 —がん微小環境の解析と新規治療開発を目指して
近藤 格
国立がん研究センター
希少がんがん研究分野 分野長
セッション3
患者由来肉腫モデルへの取り組み
後藤 典子
金沢大学がん伸展制御研究所
分子病態研究分野 教授
セッション4
患者がん三次元培養技術を活用した病態解明の取り組み
玉野井 冬彦
京都大学、高等研究院
物質―細胞統合システム拠点 特定教授
セッション5
がんの鶏卵モデル
高木 基樹
福島県立医科大学
医療-産業トランスレーショナル
リサーチセンター教授
セッション6
がん免疫に関するin vitroアッセイ系
井上 正宏
京都大学大学院 医学研究科
クリニカルバイオリソース研究開発講座 特定教授
セッション7
患者由来がんモデルとその先にあるもの
岡田 誠治
熊本大学人レトロウィルス学共同研究センター・大学院医学教育部 教授
技術セミナー
PDXマウスの開発
八尾 良司
がん研究会・がん研究所
細胞生物部 部長
セッション1
ヒト大腸がんオルガノイドを用いた転移・
再発機構の解明
成瀬 美衣
国立がん研究センター
研究所 動物実験施設
研究員
セッション1
大腸がん由来オルガノイドと同一症例由来線維芽細胞の共培養系を用いる相互作用解析
筆宝 義隆
千葉県がんセンター研究所
発がん制御研究部 部長
セッション1
婦人科領域における患者由来オルガノイド研究の新展開
石川 俊平
東京大学 大学院医学系
研究科 衛生学分野 教授
セッション2
PDXモデルを用いた遺伝子発現解析に基づく相互作用解析
廣島 幸彦
神奈川県立がんセンター 臨床研究所がん治療学部
先進的医療開発・ 支援ユニット ユニット長
セッション2
膵癌間質プロテオミクスデータを用いた統合インタラクトーム解析
宮城 洋平
神奈川県立がんセンター臨床研究所
所長・生体試料センター長
セッション2
膵癌間質プロテオミクスデータを用いた統合インタラクトーム解析
太田 之
肉腫(サルコーマ)の会 たんぽぽ 運営委員
セッション3
「希少がん肉腫、告知から現在に至る心の変化」
川井 章
国立がん研究センター中央病院 骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 科長
セッション3
‐ミッシングリンクを繋ぐ ‐患者由来希少がん肉腫モデル
松田浩一
東京大学大学院
新領域創成科学研究科
クリニカルシークエンス分野 教授
セッション3
骨軟部腫瘍ゲノムコンソーシアムによるオールジャパンでの希少がん研究への取り組み
近藤 格
国立がん研究センター
希少がんがん研究分野 分野長
セッション3
患者由来「肉腫」モデルの樹立の現状と展望
岡本 康司
国立がん研究センター研究所 がん分化制御解析分野 分野長
セッション4
シングルセル解析による難治がんの組織多様性及び治療抵抗性解明に向けた試み
井上 聡
東京都健康長寿医療センター研究所老化機構システム加齢医学
埼玉医科大学ゲノム医学研究センター
セッション4
男性・女性がんの患者由来がん三次元培養・移植モデルと病態解明への応用
後藤 典子
金沢大学がん伸展制御研究所
分子病態研究分野 教授
セッション4
乳がん患者由来がん三次元培養からがん幹細胞の不均一性に迫る
遠藤 良夫
金沢大学がん進展制御研究所 准教授
セッション5
鶏卵モデル確立の変遷
宇都 義浩
徳島大学 大学院社会業
産理工学研究部
生物資源産業学域 教授
セッション5
腫瘍移植鶏卵モデルを用いた癌の創薬研究とPDXモデルの開発
玉野井 冬彦
京都大学、高等研究院
物質―細胞統合システム拠点 特定教授
セッション5
消化器系がんと肉腫の鶏卵モデル
高木 基樹
福島県立医科大学
医療-産業トランスレーショナル
リサーチセンター 教授
セッション6
患者由来がん細胞を用いた免疫細胞による細胞傷害性アッセイ
三嶋 雄太
筑波大学医学医療系 トランスボーダー医学研究センター(TMRC) 助教
京都大学 iPS細胞研究所 研究員
セッション6
免疫原性を抑えたiPS細胞由来血管内皮細胞を用いた Cancer-on-a-Chip
石原 弘也
オリンパス株式会社
セッション6
イメージングによる三次元細胞モデルの解析
玉田 嘉紀
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
ビッグデータ医科学分野 特定准教授
セッション7
AI による細胞内遺伝子ネットワーク解析
松崎 典弥
大阪大学大学院工学研究科
セッション7
細胞外マトリックス工学による腫瘍間質の再構築
梨本 裕司
東北大学 学際科学
フロンティア研究所
新領域研究創成部 助教
セッション7
マイクロ流体デバイスによる血管化スフェロイドの構築と電気化学的な機能評価法の開発
刈谷 龍昇
熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター
造血・腫瘍制御学分野 特任助教
技術セミナー
簡便な腫瘍移植針の開発と効率良い患者由来腫瘍移植(PDX)マウス樹立システムの構築
岡田 誠治
熊本大学人レトロウィルス学共同研究センター・大学院医学教育部 教授
技術セミナー
患者由来腫瘍移植(PDX)マウス作成に最適化された超免疫不全マウスの開発
Sabine Gorynia
Managing Director, Charles River Discovery Freiburg
タイトル:Patient-derived tumor xenografts (PDXs) for preclinical development of anti-cancer therapy
スポンサー:日本チャールス・リバー株式会社
須藤 直樹
東京大学創薬機構特任准教授
タイトル:化合物ライブラリーとその利用
スポンサー:Selleck Biotech株式会社
日本チャールス・リバー株式会社
チャールス・リバー・グループは、Dr. Henry Fosterが1947年にボストン地区の研究を支えるためにたったひとりで設立した実験動物ブリーダーとして始まりました。日本チャールス・リバーは、世界に80の施設を持つチャールス・リバー・グループの日本国内拠点として、基礎研究から医薬品の開発/製品化まですべての段階をサポートする製品/サービスを提供しています。ニューノーマルへの新たな試みとして、バーチャル3D展示会を開催しています。日本チャールス・リバーの製品・サービスに関する資料、動画、アプリなどを、3つのバーチャルブース空間に配置してあります。最新の製品/サービス情報をバーチャル空間でご覧ください。
Selleck Biotech株式会社
Selleckは阻害剤メーカーとして2006年にアメリカで設立され、ドイツ、中国に続いて2016年に日本支社であるセレックバイオテック株式会社を設立しました。本社であるSelleck Chemicalsとして、世界中の50社以上の団体と業務提携を結び、20,000件以上の顧客と信頼関係を築いています。「Selleck」というブランドはアメリカ及びヨーロッパではすでに認知されており、近年アジアでも注目され、製薬メーカー、バイオベンチャー企業、医科系大学、各種研究所、そして政府機関等の幅広い皆様にご愛顧いただいております。
株式会社ビジコムジャパン
ビジコムジャパンは、様々ながん研究関連製品・サービスを取扱っています。今回は主として下記をご紹介いたします。
▶化合物ライブラリ
・腫瘍免疫関連化合物ライブラリ、腫瘍細胞分化促進化合物ライブラリなど、がん研究に特化した製品がございます。
・3136種類の承認済化合物/臨床薬から成るドラッグリパーパシングライブラリ、1403種類のFDA承認済み化合物から成るライブラリ、1487種類の臨床試験入り化合物から成るライブラリなど、網羅的化合物ライブラリ製品が充実しております。
・その他にも、阻害剤ライブラリや、細胞死、メタボリズム、エピゲノム関連化合物ライブラリなど、豊富なラインアップがございます。
・10 mM in DMSOまたは粉末を選択可能です。容量もカスタマイズ可能です。
・必要な化合物のみをピックアップしたカスタムライブラリ作製も可能です。
・リーズナブルな価格です。
▶鶏胚モデルを利用した受託サービス
・抗がん剤評価、がん光療法用化合物評価、CAM腫瘍のメタボロミクス解析などの実績がございます。
▶CAR-T細胞作製用レンチウイルス受託作製、レンチウイルス導入試薬
▶ヒトプライマリ3D培養肝細胞製品(健常モデル、NASH/NAFLDモデル)